読谷の海

沖縄海物語り（沖縄の海第３段）読谷の海～てぃだかんかんスピンアウト編

「てぃだかんかん」という映画が公開になりましたが、ご覧になった人はいるでしょうか。
４月２４日にロードショーになったばかりなのに、秋田ではGWに入って既に１日１本しか上映していませんでした。
主演がナイナイでも、やはりサンゴという題材はパンチがなく、普通の人達の共通の話題にはならなかったのでしょうか。客足の少ない映画は容赦なく縮小する市場原理主義の影響だとすると、皮肉にもこの映画のテーマと矛盾しています。
それはさておき、しはらくのベトナム生活で、まだ１度も話題の３Dを観ていませんでしたが、”タイタン”や”アリス”を蹴って、深夜割り引きじゃない映画を１７００円払って久しぶりに見てきました。それは、この「てぃだかんかん」が単にサンゴの映画だからというだけでなく、一年前の思い出との奇妙な巡り合わせを感じたからでした。
なんだか猛烈に沖縄にいきたい！！一年前の春。ゼロから再スタートした日本のリハビリ生活がなんとか落ち着いてくると、ふとそう感じるようになりました。実は沖縄にボス達を海に返した後に、もう１度訪れていて、なんとなく一段落ついてしまった感があったのですが、一つ大きなことをやり残していたことに気付いたからです。それは、どこまでも続くサンゴ畑に乱舞する色とりどりの熱帯の魚達を紹介すること。魚愛好家としてベタ中のベタな光景を「えび部屋」で紹介ていないのは開設者として実にイカンな事態です。そのためにはダイビングをしなくてはいけません。今回は思いきってスキューバダイビングに挑戦してみよう。当時、このネタを日本に帰ってきた「えび部屋」復活のノロシとしようと思ったのでした。
いつもは、直前にならないと決まらない旅行計画もおかげでＧＷの１ヶ月以上前に決定。しかし、そこはテキもさるもの、思い出の残波岬ロイヤルは２泊しか予約できず。最終日は沖縄市街のホテルで涙をのんだのでした。さて準備も万端整って、後は出発を待つばかりとなった頃、久しぶりに買った愛読誌『コーラルフィッシュ』に、「海の種」の記事が載っていました。世界規模の珊瑚の減少をくい止めようと沖縄でたった一人で立ち上げて、養殖したサンゴを海に根付かせることに世界で始めて成功し、それを仕事をしている会社で、一般人でも献金すれば代わりに養殖サンゴを海に植えてくれるらしいのです。その記事に『読谷村』という文字が目に止まりました。それはいつもいく残波岬のある土地の名前でした。ホテルから目と鼻の先で、これまた、魚愛好家として是非とも直接出向いてサンゴの移植を申し込まネバダという、運命的というより、なにか強迫観念めいたものを感じたのでした。
２年ぶりの沖縄上陸でした。沖縄は飛行機の機内から一歩外へ出た瞬間から不思議にもう体が沖縄で、頭の奥でサンシンの音やら南国の風の臭いやら、眠っていた琉球のＤＮＡが瞬時に化学反応したような奇妙な感覚を覚えるのでした。
空港カウンターで手続きをして、送迎バスで市内の高級免税店『ＤＦＳギャラリア・沖縄』のレンタカー車を借ります。受付のおねいさんが気さくに話しかけてきました。「ご旅行ですか。」「ええ、まあ観光で」「いいな～。私なんかＧＷ中ずっと仕事ですよっ！。」「・・・・」笑顔が引きつって言葉が出ませんでした。私なんかのために仕事してくれてすみません。

　
　　昼食は美浜アメリカンビレッジで遅いランチ　　　　　　小鳥もよってきます。

今回の旅のテーマはダイビングとサンゴ移植でしたが、その他にも地元の読谷村をじっくり散策したいという思いもありました。『読谷』とは『よみたん』と読みます。何度か足を運んでいるうち、単なるホテルリゾート地ではなく、古くから琉球文化が根付いた土地で見どころがあることがわかってきたからです。『ていだ』（太陽）もすっかり傾いたので、遅れついでに『座喜味城跡』へ寄り道。普通の民家の建ち並ぶの細い路地を上へ上へと這い上がっていったところ、小高い丘の上にポッカリとその世界遺産がありました。

　
城というだけあって四方を見渡せます。沖縄って狭い。　　　美しいサンゴの城壁です。

西の空もそろそろ赤味がさしてきて、急いで残波岬ロイヤルに向います。
何も変わっていないホテルは２年の歳月を忘れてしまいそうでした。部屋に荷物をおいて直ぐに海岸にでると、春先とあって、夕方はちょっと風が肌寒い。残波の海岸はちょうど潮を引いていて待っていてくれました。爽やかな磯の風と夕暮れの海岸。感無量です。

　　
かわらない残波岬。　　　　　　　　　　　　　　　　　いつまでも続いてほしい夕焼け　　　　　　　　　　　　　夕食の海ブドウ丼ともずく酢が最高です。

翌日は、さっそく本命のスキューバダイビング。せっかくなら世界屈指の透明度を誇る慶良間（ケラマ）でダイビングをしてみたかったですが、すでに予約満席で、浅瀬のダイビングもやっておらず、結局、沖合い体験ダイビングとなってしまいました。沖合いというのがちょっと気になりましたが、体験用なのでそれほど深く潜らず安全なのでしょう。昼の部のダイビングを予約して、午前中は目の前の海で水中カメラのテストを兼ねて泳いでみることにしました。流行る気持ちのためか、こういう時に限ってゴミのついたコンタクトを装着してしまい２時間部屋でのたうちまわってしまいました。２～３日の間、目に相当なダメージが残りました。
水着で海にでると、ビーチは閑散としており、水着の人は誰もいませんでした。時期が早すぎたようです。人目を避けて冷たい波とたわむれました。日に焼ける前に早々に引き上げてきて、ダイビングに備えることにしました。

　　
いつもと変わらぬきれいな海　　　　　　　　　　　　　　いつもとかわらぬ素早さ　　　　　　　　　　　　　　　岩影に隠れて撮れません

午後１：００にホテルのロビーに集合。参加者は、３人家族と若い女性カップルの二人組だけでした。家族組には小学生ぐらいの女の子が混じっていました。マイクロバスで読谷村の小さな漁港へいき、漁協のようなコンクリートのダイバーショップに案内されました。リーダー格らしい、ガッチリ日焼けした年輩のインストラクターさんが案内してくれました。もう何千回も説明を繰り返しているのでしょう。はじめてのダイビングに内心ドキドキしているこちらの心情を無視し、催眠術にかけるかのように淀みなく淡々と説明が続きます。横目で観察すると、家族連れの方は、お父さんがライセンス持ちで、お母さんと女の子はそれにつきあって何回か経験あり、若い二人組は旅先で何回か体験しているようでした。
　ウエットスーツを着込んだら、すぐに出発。ちょっとあっさりすぎるような気がしますが。まあ、それで済むぐらい安全だということでしょう。でも、よくよく聞けば沖縄でも有名なダイビングスポット『青の洞窟』にいくツアーのようです。それって確かライセンスが必要なヤツだったような？不安が残ったまま船に乗り込みました。唯一の希望は、小学生の女の子でも潜れるレベルなんだということだけです。船は、残波岬ロイヤルの前を通り過ぎて、残波岬をぐるっとまわります。波しぶきが容赦なくウエットスーツにあたってずぶ濡れになり、耐えがたい寒さにいっそ早く海に入りたいとおもいました。船はようやく『青の洞窟』のある真栄田岬の根元にたどり着きました。岬の切り立った崖には無気味な洞穴が口をあけています。周りにたくさんの船が浮かんでいて、ダイバーやシュノーケリングで賑わっています。岬のうえからは、観光客がのんきにこちらに手を振っていました。

　　
漁協のようなダイバーショップ　　　　　　　　　　　　インストラクターのドライスーツあたたかそう　　地獄の入り口、真栄田岬の青の洞窟

海は沖合い特有の濃い藍色をして波に船が揺れています。なんだか限りなく本格的なダイビングに思えました。皆に続いて船から飛び込み、揺れる船のヒモを掴んで、水面に浮かんだまま５分程呼吸の練習をすることになりました。不格好な酸素ボンベのノズルをくわえて、顔を海面につけてみると・・・・そこは地獄の風景が広がっていました。
真栄田岬の切り立った崖はそのままの姿で海中に広がり暗い海の底へと続いています。水深は予想を遥かに上回る深さで、他のダイバー達が海底でとても小さく見えました。あそこまで絶対に一呼吸ではたどり着けないでしょう。あまりの深さにゾッとしました。一瞬で来たことを後悔しました。本能が潜ることを拒否していました。この深さで呼吸を間違ったら、海面にたどり着くこともできず溺れてしまうのは間違いありませんでした。それに何よりこの頼りない酸素ノズル。口で吸って口で吐くことに違和感を感じ吸っても吸っても息苦しく思えました。海水は常に鼻の中に侵入し、こちらが一度でも間違って鼻で呼吸すれば、むせかえらせて溺れさせようとねらっていました。全身にまとわりつく海水が死そのものであることを実感したのでした。いい大人になっても、まだこんな幼稚な、原始的な恐怖を覚えることに驚きました。
横で誰かが合図しました。顔をあげると、女のインストラクターさんが呼吸の練習はもうできたかと聞いています。家族組みは先に潜ったようでした。小学生も平気で潜ったのに、ギブアップともいえず、もうちょっと時間をくれと答えるのが精一杯でした。隣では、女性カップルの年輩の人が呼吸ができずに暴れているようで、インストラクターが何とか底へ沈めようとしていますが、パニクって手に負えないようでした。自分だけじゃない。ちょっと安堵して、その間に何とか気をしずめて呼吸を練習しました。しかし、遥か下にいるダイバー達のところにいける気はまったくしません。そのうちシビレをきらして、ショップで説明してくれていた年輩のベテランダイバーさんが海中で合図を送ってきました。やむなく指で丸を作りました。
どうやら、年輩の女性は他のダイバーにまかせ、ベテランダイバーさんが、若い女性と自分のペアを受け持つようです。意を決して呼吸が乱れないように細心の注意をしながら海底へ潜りました。が、ちっとも体が沈みません。ジタバタしていたらインストラクターさんに羽交い締めにされました。どうやらジッとしてろといってるようです。するとインストラクターさんは片手で背中のボンベをもって引っ張っていってくれました。なるほど、呼吸に集中できて少しはホッとしました。先に潜った３人家族が海底の崖の上で待っていて、インストラクターさんがエサをまいて魚を集めているようです。それを見るのですが、呼吸をするのに、それ所ではありませんでした。また、潮の流れが強く体が勝手に浮いてきて流されそうになるので、必死で岩にしがみつました。おまけに冷たい海水がウエットスーツを通して染み渡り内臓まで凍えました。他の人はそれほどでもなさそうで、自分の皮下脂肪のなさが原因のようでした。三重苦でもう３０cmも動くこともができませんでした。目の前をいろいろな魚が横切り、岩の間には珍しそうなサンゴがいるようでしたが、もはや魚もサンゴもどうでもよくなっていました。一刻も早く船に戻りたいと思うだけでした。左手で海底を掴み、流されないように体をすくめて、わずかに動かせる右手で申し訳程度に写真をとることしかできませんでした。すると、いきなりベテランインストラクターさんが、デジカメを奪い取ってしまいました。素人が水中カメラをもって潜るのは危険だと判断したのでしょうか。と思ったら、記念を撮ってくれたのでした。

皆が海底に慣れたところで、今度は洞窟へいくようです。こちらはまだ、寒さと息苦しさで船に帰りたくてしかたがありませんでしたが、有無をいわさず深い海底へ引きずられていきました。ちょうど背中を摘まれたネコのような格好で、目の前を横切る魚を無造作にただパチパチと写真におさめるだけでした。水は白く意外に汚い感じがしました。魚達は群れをつくらず、好き勝手に泳ぎまわっていて、時々イラブチャーがカジッた白いサンゴの糞をまき散らしながら白い筋を残して目の前を横切りました。水深はどんどん深くなり、耳もどんどん痛くなってきました。酸素ノズルをくわえたまま耳抜きをするコツがわからず、その度に間違って海水を吸わないかと体がこわばりました。そのうち洞窟の中に入ったのでしょう辺りはだんだん薄暗くなっていきました。真っ暗になると、逆に潮の流れがなくなって暖かくなり呼吸も楽になりました。するといきなり強い力で体をひっくり返されました。予想外の動きに慌てて呼吸を整えました。殺す気？気が付くと背中が砂地についていました。ここが洞窟の終点のようです。遠く上の方で洞窟から差し込んだ小さな青白い光の玉がゆらゆらしていました。闇の中で小さな魚達が群れています。「これが青の洞窟」インストラクターさんがボードに書いてみせてくれました。

青の洞窟をでて、やっと船に帰れると安堵しましたが、そう甘くはありませんでした。またしても長い間、インストラクターさんに引っ張られていきます。遂に耳の痛さに限界にきて、カメラも呼吸も忘れて耳抜きを繰り返しました。ようやく耳が抜けて楽になると、呼吸は深呼吸するようにゆっくりすればいいことに気が付きました。
次に案内されたのは”ニモ”でした。といってもカクレクマノミではなく、普通のクマノミです。ダイバーのお約束というやつでしょう。小さなイソギンチャクにクマノミが２～３匹寄り添っていました。この大きな海でよく見つけたなと思う程のピンポイントなスポットでした。こちらは海水魚ショップで見なれているのでさほど感動はありません。魚の切り身を渡されました。エサをあげようということですが、既に他のダイバーが散々与えてやっているのでしょう。こちらのエサを申し訳ていどに食べただけでした。ここでも寒さに耐え、体が浮かばないように岩にしがみいていると、ナワバリだったのか別の魚に手をカジられてしまいました。それから、またインストラクターさんに引っ張られて別の場所に連れていかれ、あと何があるのだろうと思っていたら、「名残惜しいですが、時間となりました」とボードが。どうやら最初に潜った海底にもどってきたようでした。最後にインストラクターさんが口から空気のリングを作ってくれました。

　　

船に上がると、３人家族のお母さんと女の子、女性カップルの年輩の女性が待っていました。年輩の女性はその後どうしても呼吸ができずにギブアップ。家族連れのお母さんと子供は途中で息がつかえて戻ったそうです。ともあれ無事生還してホッとしました。妙な達成感がありました。船上でレモネードを飲んで暖をとりリラックスしましたが、その帰りまた冷たい波しぶきを浴びながら港へ戻ったので途中トイレに行きたくなって困りました。ダイバーショップにもどると特にミーティングもなく、着替えて直ぐにバスに乗り込みました。
ホテルにもどるともうすっかり日も傾いており、ビーチでのんびりする時間はありませんでした。最後の思い出にもう一度、干潟の海岸を散歩しました。

　　　
真っ赤なヤドカリ　　　　　　　　　　鉄砲エビ？　　　　　　　　　　　　　キャンプのおかずになってました。　　浅瀬に迷い込んだハリセンボン

翌日、残波岬ロイヤルもあっという間にチェックアウト。やっぱり２泊は短すぎました。次は第２の目的のサンゴ移植に向かいました。
その『海の種』はホテルから車で５分ぐらいの海と塩の体感スペース『Ｇａｌａ青い海』にありました。サービスエリアか道の駅といった感じで、目の前にはエメラルドグリーンとコバルトブルーの鮮やかな海が広がっています。いろいろな沖縄の工芸を見学しながら、目的の『海の種』へいってみると、GWのまっただ中、その入り口にだけＣｌｏｓｅのブラインドカーテンがおりていました。ちょっと拍子抜け。しばらく待ちましたが店が開く気配はなく、あきらめて次の目的地に。
ブセナ海中公園は巨大なリゾートホテルのプライベートビーチの先にある珊瑚礁が広がる海の中にありました。ブセナ海中公園は紀伊半島の串本海中公園とほぼ同じ造りで、円柱の鉄の塊に丸い窓がついている狭い空間でしたが、ゆっくり魚をながめることができました。空気がある、暖かいってすばらしい。

　　　
だだっ広いブセナ海中公園　　　　　　安心して魚を見れます。　　　　　　　憧れのタテキンに出会った。　　　　まん中の黒い影は魚の群れです。

その帰り、午前中に道を間違えて立ち寄れなかった読谷村の『やちむんの里』へ。『やちむん』とは焼き物のことで、ここ読谷村のやちむんは読谷山焼というそうです。座喜味城の近くのまたしても民家の密集した細い路地を分け入ると、看板がなければ完全に見過ごしていた地味な通りが『やちむんの里』でした。道沿いに何軒もの陶芸やガラス工芸の工房やギャラリーが連なり、のんびり観てまわる風のスポットです。読谷山焼はどうやら魚の絵付けが伝統らしく、それぞれの窯元によって個性がありますが、特に競い合うでもなく、のんびりした時間が流れていました。といっても時代に取り残されているという訳ではなく辛気くささを感じることがないのは、工房に若い人の姿がけっこう見られるからでしょう。地域ぐるみで伝統工芸を奨励している雰囲気でした。道端に並べてあったお気に入りをお土産に。

　　　
ギャラリーには結構人が。　　　　　　道はずれの工房　　　　　　　　　　　共同の巨大のぼり釜　　　　　　　　　お気に入り絵付けの湯のみ

夕方になって、もう一度、『Ｇａｌａ青い海』に立寄りましたが、やはり『海の種』は開いていませんでした。今回の旅の目的と期待していただけに残念。シブシブ読谷村を後にしたのでした。その夜、那覇市内のビジネスホテルにたどり着き、沖縄一の繁華街にぎわう夜の国際通りにくり出しました。道端でヤジウマを沸かしていた大道芸人のツバサ君はその後無事に東京にたどり着いたでしょうか。
翌日、どうしても気になって朝７：００に車を飛ばしてまたまた『Ｇａｌａ青い海』を目指しました。１６時には那覇空港ですが、そうそう来る機会もないので最後のチャンスにかけてみました。
しかし・・・、やはり『海の種』はブラインドが重く垂れ下がっていました。経営が苦しいのか、たまのGWぐらいは休みたかったのか。ここまできて何の足跡も残せないとは、落胆してしばらくベンチに座り込んでしまいました。目の前には覚めるような海が広がっていて、ヒサシの下のベンチは南国の風が心地よく、ふと、目の前の景色より豊かだった頃の海について考えてみましたが、とても想像できませんでした。崖から見下ろすと、雑誌の記事にあった工事中の『海の種』の養殖場が見えました。

　　
目の前に広がるのはまさに『青い海』　　　　　　　　　立ち入り禁止で下に降りれません。　　　　　　　　　　　サンゴの養殖場。せめて近くで見せてくれ。

大きな精神的ダメージが残りましたが、気分を入れ替え那覇市街にとんぼ返りし、これまでなかなか見れなかった首里城と城下町の石畳道をめぐりました。
自然だけでなく文化も豊かな沖縄を満喫できました。

　　　
最近めっきり減った弐千円札　　　　　名坂１００選の石畳道　　　　　　　　坂下の地元沖縄そば（おいしい）　　　町中の霊地「金城の大アカギ」

沖縄から戻ってから、直ぐに『海の種』にインターネットで養殖サンゴの移植を申し込みました。その直後ベトナムに長期出張になってしまいサンゴがどうなったのか確認できませんでしたが、５月に頼んだ移植は２００９年８月２０日に移植されたようです。会社の同僚が日本から持ってきたくれた郵便物の中に『海からの感謝状』という紙に、移植の済んだ小さなサンゴの写真が載せてありました。直径２cmぐらいの枝サンゴで、依頼者の名前のプレートが映っています。そのプレートは証拠として感謝状にくっ付けてありました。

　　

他にも、その感謝状には移植した場所を示すＧＰＳ座標が書き込まれていました。緯度と経度の座標の数字なのでピンときませんでしたが、沖縄の海のどこかに自分のサンゴが大切に植えられているのしょう。そのサンゴが今後どうなっていくのか確かめる術はありません。その時はそれ以上リアクションがでなくて、『海の種』のサンゴは過去のものになっていきました。
それから、半年程過ぎて２０１０年４月に日本に戻ってきたとき、また久々に買った『コーラルフィッシュ』のトピックスに今度は映画『てぃだかんかん』公開の記事が載っていました。ちょうど『えび部屋』の更新に１年前の沖縄旅行の資料をまとめていたときでした。テレビでも番宣や特集が組まれるようになってくると、過去の思い出になっていた自分のサンゴが気になってきて、そうすると、ふとＧＰＳ座標をマップ検索できるんじゃないかと思いつきました。ネット検索で試行錯誤の末にマップ表示をしてみると、自分のサンゴが植わっている場所は、あのとき、『Ｇａｌａ青い海』のベンチでガッカリして眺めていた目の前の海だったのでした。そこだったらシュノーケリングや素潜りでも見に行けるかもしれません。いつかあの海がもっと豊かになって、自分のサンゴが大きく成長し、ボスやボンの子孫が集まってくるところを写真に撮りにいきたいものです。また、残波岬にいく目的ができました。

おわり