名前：ケンタロウ
メイン水槽がボスとボンのカップルで手狭になってしまったため、新たに立ち上げたサブ水槽の主、ケンタロウ。槽歴は５１ヶ月（４年３ヶ月）です。
良く映える黄色に蛍光グリーンの水玉模様をしたギンガハゼのケンタロウは、中央の植木鉢がお気に入りの住処で、たいてい鉢の排水口からニョッと顔をだしてじーっと水面
を見上げては物思いにふけっています。じっとしているのが大好きで、顔の前に落ちてくるエサだけを食べるモノグサっぷりで、水中を泳ぎ回るに姿をほとんどみることはありませんでした。
水槽に入れた頃のケンタロウ
導入当初のケンタロウは小指の半分ほどの長さで綿棒のようにほっそりしていました。入れるとすぐに底面
ろ過の隙間に逃げ込んでしばらく姿をみせてくれませんでした。その後、たまに岩の隙間から姿をみせては鮮やかな黄色で小さなサブ水槽をにぎやかしてくれました。
いくら年を重ねても臆病者で、人を見ては隠れ、魚を見ては隠れ、レイアウトを変えては隠れ、エサをまいては隠れで、呆れるほどのヘタレぶりを発揮し、ずいぶんヤキモキしたものです。
こんな引っ込み思案でモノグサなケンタロウが唯一、積極的になったことといえば、クマノミの赤ちゃんを育てるときに与えていたブラインシュリンプ（生き餌）を育て過ぎて思いがけず大人に成長してしまったヤツを、サブ水槽にいれてみたときでした。それまで植木鉢の中に隠れていたケンタロウがブラインを入れるや、どういうわけか瞬時に気配を察して、顔を出したかと思うと、こちらを全く気にもとめず、一直線に水面
まで泳いでいってブラインをパクリ。水面まで泳いでくるケンタロウを見たのはそれが最初で最後です。それからというものブラインを与えるときは、当時のサブタンク仲間で俊敏な梅麻★（ロイヤルグラマ）すら出し抜いて、驚く程のハンターぶりでプラインをひとりじめしていました。動き回るイサザアミをいれても、うっとうしそうに植木鉢にかくれていたケンタロウですが、ブラインシュリンプだけは大好物のようです。
みきちゃん（イバラタツ）との相性もばっちり。
ビビリの性格なので他の魚と喧嘩することもなく、多少イヤな相手なら植木鉢にずっと隠れて安全とわかるまで出てこないので、隠れ家さえあれば折り合いがつきました。ただ、ハタタテハゼだけはライバル視していたようで、激しく追い回すことはありませんが、食べてしまうんじゃないかと思うほど大口を開けて威嚇していました。
お嫁さんのモーコと。
そんなケンタロウも晩年には体もガッシリと貫禄がついて、モーコとペアになった頃には、トレードマークの黄色の身体も老けたように色あせてしまいました。
意外に亭主関白で、モーコとベタベタするでもなく、かといって無視するわけでもなく、ますます植木鉢の真ん中で大黒柱のようにドンと構えて辺りを警戒しているように見えました。
最後は、モーコともども沖縄の海へ。残波岬についた頃には、輸送のストレスで身体がどす黒く変わってしまいました。海に放す時にはモーコは少し色がもどりましたが、ケンタロウはよっぽどビビッたのか、結局そのまま色がもどることはありませんでした。袋から海に放した途端、別 々に進んでいき、すぐに波にまぎれて見えなくなりました。その後、輸送のショックから立ち直り、ちゃんとヨリを戻してくれたでしょうか。植木鉢もなく世間の荒波にもまれているケンタロウ。たくましく生きぬ いていつまでもお幸せに・・・。