床が抜けないか心配な国宝犬山城 犬山城から見た木曽川の流れ こちらは国宝茶室の如庵
川は魚に限らず人にもなくてはならないもの。どんなに険しい山でも、へんぴな山間でもいい川があると人は魚のように集まって栄えるのです。人と魚は知らず知らずに親密な関係になっているといってもいいでしょう？今回はそんな川にまつわる名勝・景勝地を求め川上へと遡る旅・・・・というのはウソでただひたすら旨いものと温泉とネタを探し求める欲望丸出しの旅の記録を紹介します。
犬山 木曽川
旅の始まりは名古屋から。ほんとに名古屋？と思うぐらいのチッポケな名古屋小牧空港に降り立ちました。まわりに何も無いので、まずは国宝犬山城を見に行くことに。空港バスから名鉄犬山線に乗って犬山遊園下車。大きな木曽川の流れに沿って崖にそびえる犬山城を目指しました。途中、国宝茶室”如庵”を訪ねましたが、ホテルの敷地内とは知らず１時間ほど右往左往してしまいました。犬山城は現存する中で最も古い天守閣なのだそうで”八重桜”や”功名が辻”の力も手伝ってか、古い建物に老若男女で大変なぎわいでした。コートを管理事務所に保護されるぐらい邪魔な春の陽気でした。
床が抜けないか心配な国宝犬山城 犬山城から見た木曽川の流れ こちらは国宝茶室の如庵
名古屋 掘川
その夜は名古屋中心街に戻って堀川沿いのビジネスホテルに転がり込みました。念願の”ひつまぶし”を食べに外出。その帰り、１区間２００円の地下鉄代をケチって歩いて堀川を目指すも、２時間近く道に迷い、結局体力を消耗しただけで地下鉄に引き返したのでした。後日、”バス・地下鉄乗り放題キップ”の存在を思い知ることになりました。
城内は見た目とウラハラな名古屋城。 こんなところにも魚が。
翌日も天気に恵まれ名古屋観光へ。まず手始めに尾張徳川の居城”名古屋城”です。これで鍾乳洞に続き、日本三大名城も制覇しました。
さすが、徳川家の居城にして東海道の要所だけあって、広大な敷地に荘厳な天守閣。しかし、昨夜の無駄
歩きのダメージもあり、みどころ満載の城内全てを堪能できず天守閣でギブアップ。次に向かったのも御当地、徳川美術館。しかし、どうも名古屋の地理と相性が悪いようです。昨日は川を目指して川が見当たらず、今日は川の反対を目指したはずなのに、逆にその川にたどり着いてしまいました。途中”しきめん”をゲットするも約３時間炎天下を放浪し、美術館の滞在時間を３０分で切り上げるしかありませんでした。その後の名古屋観光を全てキャンセルし、次の目的地、下呂に向いました。
下呂 飛騨川
高山本線は飛騨川と共に北上します。日本アルプスのお膝元とあって岐阜を離れるとすぐに川岸がゴツゴツした岩に囲まれた険しい景観が楽しめます。
２時間も揺られると下呂温泉に到着します。これまた日本三大温泉を制覇です。
下呂駅のプラットホームにて。 下呂温泉のまん中を堂々と流れる飛騨川 河川敷には人目をはばからない殿方が・・・
下呂は温泉街と呼ぶにふさわしく、飛騨川をはさんで狭い山間にぎっしりとホテルや旅館が軒を連ね、夜にもなると派手な看板がにぎわいます。オシャレで格調の高い宿も多い中、どこか”寅さん”がひょっこり出てきそうな古くさい旅情を残していました。駅を降りてシンボルの下呂大橋を渡ると、河川敷の名物露天風呂”噴泉地”を眺める人集りが。この解放感まる出しの中で堂々とお湯に漬かっているジモピーのオジサン達はさすがでした。
モダンな公共浴場「白鷺の湯」 下呂の銘菓、その潔さに購入。
温泉は宿の素朴なお風呂と温泉センターをハシゴしました。旅館が建て込んでいる中で斜面 をうまく利用していますが、やはり窮屈。しかしお湯はさっぱりして、風呂上がりにのんびり散策したくなります。こういった温泉地は旅館が料理の腕を振るうので、素泊まりにはキツイことも多いですが、下呂は庶民的な食事処も充実していました。本日はボリューム満天の”みそカツ定食”です。
白川郷 庄川
翌日は朝から更に高山本線を北上して高山へ。高山のバスターミナルから１日４便しかない白川郷行きをうまく捕まえて２時間程バスに揺られました。
この辺りは桜の名所らしく、ちょうど開花がまっさかり。偶然にも桜の郷を代表する２つの桜樹を見ることができました。
電車の窓から樹齢１０００年の”臥龍桜” バスの窓からは熱いドラマの”荘川桜”が。
白川郷は庄川の片側に沿った１kmほどの山里です。駐車場は庄川を挟んで反対側にあり世界遺産の看板がかかげられ観光客でにぎわっていました。そこから細い小さな”であい橋”を渡って白川郷へ入ります。白川郷を車と人で溢れさせないための工夫でしょうか。
バス停から庄川を渡り白川郷へ ほどよいのんびり感がベストマッチ。 見学できる民家も結構ありマス（有料）。
合掌造りといっても全民家のせいぜい４０〜５０％程度といったところ。それでも期待を裏切らないのは、観光地でありながら山里の農村らしいのどかな雰囲気をそのままに残してあるからでしょう。観光客のために必要以上に手を加えたり客ヨセをせず、かといってナイガシロにもしない適度な観光スポットや休憩所、売店が点在していて絶妙のバランスが保たれているように思えます。もとは排他的な土地柄だったようですが、今では世界から愛される土地として他所者の観光客の気持ちをガッチリつかんでいるのでした。
合掌造りな食事処、売店も充実してます。 おなじみ露展望台から眺める”桜と白川郷”
郷は観光客でいいにぎわいです。散策マップを片手に２〜３の合掌づくり内を見学しました。家々の道沿いに水路を引いてあり、その豊富に流れる水みながらのんびり歩いていると、実にゆったりとすることができました。展望台で”ごへい餅”を食べたり、”蕎麦”を食べたりして、３時間の滞在時間もあっという間でした。
郷を流れる澄んだ水路。 水路を仕切って、いたっニジマス！ 撮っているといつの間にか人ダカリに・・。
高山 宮川
白川郷から戻ってきて高山駅から程近い９Fのリゾートホテル”ひだホテルプラザ”へ。高山は街自体が観光地だけあって老舗旅館や豪華ホテルが豊富にあります。
念願の”飛騨牛ステーキ”を食べて、ホテルのオリジナルイベントのナイトツアーに参加してみました。ホテルから歩いて街に点在する数々の名所や史跡を訪ねながら、高山観光のメイン、古い町並みの残る”さんまち”ストリートを散策しました。
夜の”さんまち”はひっそりと灯るオレンジの外灯が映えてとても幻想的です。赤いハッピのガイドさんの名調子に耳を傾け、街に残るいろいろな伝説や風土を知るとただの観光もより味わい深くなります。旅のウンチクこそ何よりのゴチソウです。
ちょっと高いけどお勧めの”ひだホテルプラザ” 演歌”奥飛騨慕情”の舞台の一番街 幻想的な夜の”さんまち”
２時間程のツアーが終わると、ホテルで一日の汗をながしました。最上階のジャグジ−展望露天風呂”星の湯”や地下の全面
畳敷き風呂などなかなか趣向が効いています。
ホテル内にあるお土産街には掘もあって鯉が居眠りしていたりします。一晩だけでは物足りない良いホテルでした。
街を流れる宮川は名物朝市で始まります 江戸時代のお役所”高山陣屋”の拷問具 雨の”さんまち”も風情がありました。
翌日は生憎の雨模様。最初は昔の執政所跡”高山陣屋”で雨宿り兼御当地めぐりと、軽く見ていたらさすがお役所跡だけあって全部見てまわる頃には既に足が棒になっていました。そこからすぐ近くにある”さんまち”へ。夜とはうってかわって活気があり、いろいろな土産屋や食事処が軒をひろげ、ちょっとした出店感覚です。足腰のイタミも忘れて何を売っているのかついつい１軒１軒のぞいていると、体も動かなくなってきました。幸い高山にはアンティークでオシャレなカフェもたくさんあるので休憩にも便利です。さんまちの家々は低くて黒塗り以外はそれぞれ外観が異なっているのですが、なぜか全体にしっくりと馴染んで味わいがありました。黒い格子の家は、夏の暑さ、春・秋の祭り、冬の雪に対応するための工夫がいたるところにあり、こじんまりと見えても広く快適なようです。カフェでエネルギーを蓄え、お土産モードに突入。焼き立てせんべいはとてもうまかったです。もうすこしカバンに余裕があれば・・・。
最後は”高山ラーメン”でシメて雨の高山を後にしました。旅の余韻を味わいながら、名古屋までのお供は高山名物、甘くない”みたらしだんご”です。
名古屋駅では先日のリベンジでもう一度、名古屋を満喫しようとしましたが、土砂降りの中、チッポケな小牧空港行きのリムジンバス乗り場を探すのにこれまた１時間以上かかり、結局なにも満喫できなかったのでした。